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ジェフ中断明け初戦は対照的なスタイルの山形に1‐3の完敗

 試合前にシーズン後半のテーマは、このスタイルでの発展性をどこまで見せられるのかという話をしましたが、よりシンプルに言えばこのスタイルでどこまでの結果を期待できるのかだと思います。
 5バックで引いたサッカーで相手の攻撃を耐えて耐えて、一発勝負でのゴールを期待する。
 これは天皇杯川崎戦だけでなく、金沢戦でも、今回の山形戦でも基本的には同じ展開だったということで、どのレベルの相手でも似通った状態になっているように思います。

 プレスにも行けず、後方で跳ね返すサッカーだから、基本的にはそこでの勝負になる。
 相手の攻撃の質が高ければやられてしまうし、相手にミスが多いチームなら凌げるということで、相手に依存する受け身のサッカーになっている印象です。
 その結果、順位も10位とほぼ真ん中の位置ということで、リトマス紙のような立ち位置になっているのでしょうか。


 その耐えるサッカーで求められるのは、シンプルに結果ということになるのではないかと思います。
 少しずつ積み上げるスタイルとは言い難いと思いますし、現実的な戦いをしているわけですから、成功の可否はいかに勝点に近いサッカーをできているか否か。
 しかし、この試合でもビハインドになってからの手立てを感じられなかったし、あっさりと失点してしまったようにも見えました。

 このサッカーを発展させていくためには、より賢くより緻密に、勝点を奪える方法を取得しなければいけないように思います。
 一方でこのサッカーで結果が出なければ、ガタっと崩れる可能性もあるのであないでしょうか。
 求められるのは忍耐なスタイルなだけに、それに対する成果が出るかどうかが、重要なのかもしれません。

■パスを繋ぐ山形と守ってサイド攻撃を仕掛けるジェフ

 小田がメンバー外で、福満がスタメン出場し右WBに入って、安田が左WBに回りました。
 ベンチからは岡野、ブワニカが外れて、高橋、岩崎、ソロモンが入りました。
 ジェフは開始直後に新型コロナウィルス感染者1名と、濃厚接触者疑い1名が出たことを発表しており、その影響もあるでしょうか。

 山形は前節磐田戦からスタメン変更なし。
 ベンチには怪我から南、ヴィニシウス・アラウージョが復帰しています。
 前節怪我から復帰し途中出場を果たした堀米は、レンタル移籍中のため出場できません。


 3分、ジェフの攻撃。
 左サイドの奥でサウダーニャが受けて、左足でクロス。
 船山が頭で合わせますが、GKビクトルがキャッチ。

 試合は予想通り、山形がボールを持ち、ジェフが守ってカウンターを狙う展開に。 
 山形はCB2枚とボランチがボールを出し入れすることで、少しずつジェフの守備のずれをつくり、そこから縦へ鋭いパスを出してきます。
 ジェフは5バックで後方を固め、攻撃時にはサイドからの仕掛けが目立つ形に。


 山形が攻める展開が続きましたが、18分にはジェフのチャンス。
 右サイド中盤後方からのFK。
 船山が蹴ると鈴木が飛び込んで頭で合わせますが、ゴールの左を逸れます。

 27分にもジェフの攻撃。
 新井一耀からのロングパスを、船山が右サイドで受けて走り込んで福満へ。
 そのまま福満が狙いますが、相手DFがブロック。


 30分には山形の攻撃。
 右サイドの中原がカットインしていき、田口、鈴木をかわして中央へ。
 混戦状態で林がシュートを放ちますが、鈴木がブロック。

 34分、ジェフは小林を下げて熊谷を投入。
 その直後、山形のチャンス。
 左サイドのCK、國分が蹴るとこぼれ球を拾った中原がミドルで狙いますが、GK新井がファインセーブ。


 41分、山形が先制。
 左サイドからのCK、ファーサイドで林が蹴ると、野田、山崎と繋いで、加藤がオーバーヘッドシュート。
 これはGK新井が防ぎますが、藤田がつめて0‐1。

 しかし、その直後、ジェフが同点ゴール。
 安田からのクロスは相手DFに跳ね返されますが、こぼれたところを田口がダイレクトでシュート。
 距離のある位置からのシュートですが、これが決まって1‐1になり、そのまま前半を終えます。

■後半から山形が攻め込む展開が目立ち1‐3の敗戦

 48分、ジェフの攻撃。
 ハーフウェイライン付近でサウダーニャが受けると、藤田のマークを振り切って前を向き長い距離を持ち上がります。
 そのままロングシュートを狙いますが、枠を捉えきれず。

 50分、山形が勝ち越しゴール。
 右サイドで山田康太が持ち上がると、中央の藤田へ。
 藤田は縦パスを送ると、林が反転しシュートを放ちゴール。


 その後は、ジェフが一方的に攻め込まれる展開に。
 ジェフはサウダーニャも低い位置まで下がってボールの出所が抑えきれず、中盤で縦パスが出し放題な状態に。
 山形のボールを失った直後のプレスにも苦労していきました。

 60分には船山、見木を下げて矢田、岩崎を投入。
 65分、山形は林、國分に代えてヴィニシウス、南を起用。
 選手交代をしたジェフですが、状況が変わらず。


 67分、山形が追加点。
 左サイドからのCKを中原が蹴り、加藤がニアでフリック。
 ヴィニシウスが完全にフリーで合わせて、1‐3に。

 2点ビハインドになったジェフは、給水タイムを挟んで5‐3‐2に変更。
 71分、ジェフはサウダーニャ、安田を下げて、ソロモン、末吉を投入。
 前への姿勢を高めていきますが、逆に裏を取られる回数も増えていきます。


 73分にはジェフの攻撃。
 後方からのロングボールとソロモンが競り合い、こぼれたところを岩崎が拾います。
 中盤からミドルシュートを狙いますが、GKビクトルがセーブ。

 81分、山形は加藤、中原を下げて、樺山、木戸を投入。
 85分には山形のチャンス。
 マリノスから加入したばかりの18歳樺山が左サイドでチャンをかわして中央へパスを繋ぐと、こぼれたところを南が狙いますがサイドネット。

 試合終盤も山形の多彩な攻撃から、ゴールに迫る展開が目立ちます。
 93分にも右サイドで山田康太がボールを奪ったところから持ち上がり、中央でフリーになった樺山へ。
 樺山がシュートを放ちますが、ゴール左隅を逸れ1‐3で敗戦となりました。

■耐える先に何かが見えてくるのか

 山形は非常に緻密なパスサッカーを展開してきました。
 CBがパスを繋ぐと、一方のボランチは少し前に出てジェフのボランチを押し込み、もう一方のボランチはジェフのボランチ前で受ける。
 トップ下の山田康太も運動量豊富に動き回り、ジェフの隙間を狙っていく。

 5‐4‐1か5-2-3の3ラインで引いて守るジェフに対して、合間合間を狙う動きを見せてきました。
 5レーンのパスサッカーでは同じレーンに選手が入らないように指示を出す監督が多いようですが、山形の場合は横関係だけでなく、縦関係でも選手が入れ替わるように動いていきました。
 これによってジェフのボランチなどが釣られて前に出れば、その後ろが空いてパスコースが出来るといった感じで、少しずつ守備ブロックをずらしていったように思います。


 対照的にジェフの攻撃は、ともかく個人技で相手をかわすことがベース。
 サウダーニャが強引に突破する動きを狙っていたのが目立っていましたが、サイドでも仕掛けてクロスといった展開も多かったと思います。
 サウダーニャに比べるとヴィニシウスのポストプレーはうまく味方を使う落とし方をしていて、それによってカウンターの枚数も大きく違っていきました。

 ただ、サウダーニャも、守備時はかなり低い位置まで下がらざるを得ない状況でした。
 あそこからカウンターを狙っても、どうしてもゴール前まで素早く持ち込むのは難しい。
 そういった意味でサウダーニャにも同情すべき点はあるように思いますが、1トップからのプレスが効かないから押し込まれるのであれば、いっそスタメンの1トップを変えるというのもありなのかもしれません。


 ここ最近のジェフは、前半・後半の開始直後や前半の方が勢いのあるように見えます。
 それも相手にパスワークを展開されるとプレスに行けないので、徐々に押し込まれる状態となってしまうからではないでしょうか。
 こういったサッカーだと、先行される試合になると苦しくなってしまいますね。

 それでも、この試合でのジェフはサイドからいくつかチャンスも作れました。
 山形はSBが中に絞ってビルドアップに加勢するので、その外を素早く攻めようという狙いだったのかもしれません。
 相手の特徴というのもあったかもしれませんが、サイド攻撃は収穫だったのではないでしょうか。


 ただ、サイドから仕掛けても、やはり中央の強さはもう1つ。
 また、ボランチがボールを持っても中央へのパスは狙わず、サイドへの展開第一で考えているように見えました。
 これも山形とは対照的で、山形は強引であっても中を狙うため、攻撃の選択肢が多かったですね。

 また、この守備スタイルだと何度も相手に攻め込まれるので、やられても仕方ないなとどこかで思ってしまうのが、悩ましいところなのかもしれません。
 選手はそう思ってはいないのかもしれませんが、見ている方からするとどうしても苦しそうに守っているように見えてしまう。
 それでも耐えた先に何か見えてくるものがあるのかどうか、見守っていきたいと思います。