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スタミナ切れに感じるマネジメントの問題を経ての首位磐田戦

 相模原に敗れたジェフは、ホームフクアリで磐田を迎え撃ちます。
 磐田は現在18勝5分5敗の勝点59で、2位京都を勝点1上回り首位に立っています。
 ジェフは9勝10分9敗の勝点37ですので、順位は10位ではありますが、首位との勝点差は22と大きく離れていることになります。

 その磐田も7月中旬からの山口戦、山形戦、甲府戦の3戦は勝ち星から遠ざかり、若干足踏みしていました。
 しかし、オリンピック中断明けの成績は3勝2分と、調子を取り戻してきています。
 ジェフも中断明けは好調と思えて、成績は1勝2分2敗でしたから、改めて上位の強さを感じますね。


 磐田はシンプルなスタイルながらも多彩な攻撃を持っている印象で、一人一人の技術力も高い。
 サイドでのサポートの入り方もうまいし、ワンタッチでのパスワークだけでなく、時にはロングボールや裏へのパスもある。
 プレースキックからの攻撃も脅威で、どこからでもゴールを狙えるチームですね。

 昨年はコンディションがもう1つだったエースFWルキアンも、今季は安定して戦えている印象です。
 ルキアンは守備もするし、足元のポストプレーも、裏抜けも、ヘディングでの強さもある。
 ただし、ルキアンのワンマンチームではなく、ルキアンを警戒しすぎると他でも攻撃が作れるところが強みですね。


 また、シーズン序盤は目立たなかった遠藤も、徐々に調子を上げてきている印象です。
 ここ4戦で2ゴール2アシストの活躍を見せており、見事な直接FKでのゴールもありました。
 ただ、今季序盤の遠藤は動きがもう1つだったため、遠藤頼りのチームにならなかった印象があり、結果的にそれが良かったのかもしれません。

 守備面でも伊藤洋輝が海外移籍し、森岡が負傷中ではありますが、元ジェフの伊藤槙人が横浜FMから加入しここ2試合スタメン出場を果たしています。
 GK三浦も好調で、粘り強い守備が出来ているように思います。
 なお、伊藤槙人は磐田U-15から浜名高、駒沢大を経て、ジェフに入団しており、磐田復帰ということにもなります。

 何よりも大きいのが、チームとして結果を出していることで、自信をつけていることなのかなと思います。
 昔から強い時の磐田はのらりくらりと戦うというか、何があっても動じない勝者のメンタリティを持っているイメージがあります。
 それを黄金期の監督でもあった鈴木監督が就任して思い起こさせるというのは、何か関係があるのでしょうか。


 一方のジェフは新潟戦からハイプレスを実施し、前々節長崎戦では2‐0で勝利しましたが、前節相模原には0‐1で敗れてしまいました。
 正直、チームとしてちょっと嫌な流れに入ったのかなと思わなくもありません。
 先週の相模原戦前にも、以下のように話しました。

yukkuriikou.hatenablog.com

昨年も一時はプレスをかけて行きましたが、守備が安定せずスタミナ切れも起こして諦めている経緯があります。
現在の方が走れる選手を多く起用していることもあってまだうまくいっているとは思いますが、昨年もハイプレスを諦めていることを考えるとまだ安心できない状況だと思います。

 相模原戦も結局スタミナ切れを起こして、敗れてしまったことになります。
 やはりハイプレススタイルで戦おうとすると、どうしても90分間は持たない不安があり、前半に凌がれると厳しくなってしまう。
 新潟戦などはフレッシュな選手たちをスタメン起用したことで元気でしたが、そこから試合が経過して走れなくなっていっているところがあると思います。


 この問題を克服する策として、うまく選手を使い分けるというものがあるでしょう。
 しかし、ジェフはこの夏に大槻、岩崎、溝渕など、走れる選手を放出してしまった。
 その頃はまだハイプレスどころか、引き籠ったサッカーをしていたから合わなかったのでしょうが、どうにもチグハグに思えるところがあります。

 思えば今季序盤も4バックでスタートしたものの、3バックにシフトしたためCBやWBなどが不足がちなところがあるのではないでしょうか。
 致し方なく3バックに変更したところもあるため予測できなかったでしょうが、ハイプレスに関してはどうなのか。
 明確なスタイルを確立できないからこそ、バタバタしたところがあるのではないかと思います。


 相模原が高木監督を中心にパスを繋ぐために成岡や兵藤や藤原を、アグレッシブに戦うために高山や兒玉を、ゴール前での強さを求め木村や澤上を補強しそれぞれ戦力になっているところを見ると、マネジメント能力に大きな差を感じるところがあります。
 まずはチームとしてやることをはっきりして、それに合わせた選手補強と起用法をチョイスする。
 その点でジェフは、後れを取っているのではないでしょうか。

 先週取り上げた図の通り、昨年も尹監督はマイナーチェンジを施しながら戦ってきました。

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 今季は2年目ということもあってか、より大きな変化を加えながらシーズンを進めています。
 開幕当初は4バックでパスワークも狙い、それが駄目となって3バックに変更してガッツリ引いたサッカーで戦っていた。
 しかし、それも厳しく今度はハイプレスで戦おうとしている。

 今回も駄目だとなると、もう残りの弾も数える程度になってしまうのではないかと思います。
 そもそも本来は固定化することが理想でしょうし、初期に実施したサッカーこそが監督の自信のあるスタイルでしょうから、第3、第4の選択肢となれば粗も出やすくなるかもしれない。
 そのハイプレスサッカーも限界が見えつつあるのかなと思いますし、チームビルディングを広い目で捉えると「嫌な流れ」になりつつあるような気がします。

 残りシーズンも3分の1とあまり時間はないわけですから、理想を考えればこのサッカーを完成させることが目標となるのでしょう。
 ただ、昨年もうまくいかなかったし、どの監督もスタイル変更直後というのは意外とうまくいくけれど、その後は苦戦することも多いわけで、心配な状況になりつつあるのかなと思います。
 今年も厳しい冬が近づきつつあるのかもしれませんが、まずは目の前の試合に全力で向かってほしいと思います。