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ジェフの守備を打開した金沢のテンポの良い攻撃

 今回も非常に細かい話になりますが、金沢戦では相手の攻撃ジェフの守備網が崩されるシーンが、これまでよりも目立った印象でした。
 今後はこれがジェフの守備攻略のヒントになってしまうのでしょうか。

 昨年後半からのジェフの守備は、後方を人数で固める5バックと、素早い戻り。
 そして、そこから前へ潰しに行くプレーが、特徴となっているのではないかと思います。
 試合後にも話した通り、そこに対して金沢は速攻でも遅攻でも素早くボールを回すことで、打開していった印象です。

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 例えば85分には、ジェフのゴールキックからの展開を後方で金沢が拾うと、左SB長峰が左サイド前方へロングフィード
 杉浦力斗がサイドへ流れて受けたところから、長い距離を走った長峰が受けて素早くクロス。
 これはファーに流れますが、松田が拾って上げ直し、杉浦力斗がフリーでシュートを放つ攻撃を作られています。

 これに関しては金沢が後方でボールを握ってからの攻撃ですので遅攻にはなるでしょうが、ジェフの守備も整い切っていないため速攻にも近い展開と言えるでしょう。
 開幕戦で敗れた岩手もロングキックを右前方に送って、宮市を起点にする攻撃を作り上げており、ジェフのプレスを回避して攻撃を作っていきました。
 見方によってはそれにも近い形ですから、ロングボールを織り交ぜる攻撃への対処も検討事項と言えるのかもしれません。 


 より明確に、遅攻からの展開を作られたのが52分。
 左サイドでのスローインを毛利が後方へ入れると、庄司がダイレクトで毛利に戻します。
 毛利は素早く縦の松本大弥につけると、松本大弥がうまくキープして3人に囲まれながらスルーパス

 これに反応した林が、縦に駆け上がってクロス。
 佐々木の裏でフリーになった豊田に入りますが、足元に入り過ぎてしまうトラップミス。
 これによって、サイドネット外で失点を免れました。

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 ジェフから見ると、松本大弥がキープしたことで、西久保や小島などがそこに引き出されてしまいます。
 鈴木大輔は西久保の裏にいた大石もケアしなければならず、結果的に外へと釣りだされます。
 新井一耀のスライドも遅れて、白い円のエリアがぽっかりと空いてしまったことに。

 さらに、その後も佐々木がボール側に釣られて、豊田のマークを空けてしまっています。
 このシーンは、松本大弥のキープからのスルーパスがうまかったこと。
 ジェフの西久保、小島、ブワニカの守備が甘かったことも問題ではあり、DFラインの連係不足なども出たのかもしれませんが、金沢の攻撃のうまさを感じたシーンでもありました。


 金沢のポイントは、前にスペースがなくとも、前の選手にマーカーがついていようと、素早く縦へ繋いだことではないかと思います。
 早いタイミングで攻め込まれたことで、ジェフ全体のスライドなどが間に合わず、5バックの間が空いてそこを突かれてしまった。
 柳下監督が試合前に言っていたように、相手がテンポよく攻め込むことで、チャンスを作られてしまったと言えると思います。

 前々節対戦した山形などはポジショナルサッカーということもあって、相手の間でフリーになった選手を探し過ぎて、攻撃が遅くなりジェフが守りやすかった面もあったと思います。
 興味深く見ているスタイルではあるのですが、この辺りが課題でその他のポジショナルサッカーを志向しているJ2チームも苦労しているのでしょうか。
 オシム監督などは自ら動いて、相手の守備をかき乱し、混乱させることを強く意識付けしていましたが、そういった発想が現代サッカーでは足りていない部分でもあるのかもしれません。


 ジェフとしては、素早い攻撃に対しての対応が、今後守備で詰めるべきポイントとなるでしょうか。
 全体のスライドももちろん大事ですが、素早く縦に仕掛けさせないように、あるいはサイドチェンジをさせないように、相手の攻撃を遅らせる守備も大事だと思います。
 このシーンでも庄司や毛利のところでサイドチェンジされる不安があったからこそ、最終ラインのスライドが遅れた可能性もあると思いますし、それ以降も含めて相手のテンポを遅らせる守備が必要となってくるのかもしれません。

 また、ここ数戦、試合終盤は足が止まって、全体のラインが下がり縦パスを入れられる展開となることが増えています。
 90分間におけるペース配分やスタミナ面も重要ですが、運動量が落ちた時の対応や試合の終わらせ方も、今後の課題となっていくのかもしれません。
 現時点では失点が少なく済んでいますが、まだシーズン序盤ですし先を見据えた修正・成長が必要となってくるのではないでしょうか。