新チームが立ち上がりハイプレスやカウンターには可能性を見せているジェフですが、遅攻に関しては苦労している印象です。
それが堅守の秋田戦で、より顕著に出たのではないでしょうか。
秋田戦後にも少し話しましたが、1アンカー2インサイドのシステムが難しくしている部分もあるのかなとも思います。
先週取り上げた群馬戦でのビルドアップのように、DFを中心にパスを繋いで相手が前に出てくれば、ジェフのアンカーも空きやすくなる。
さらに、群馬戦では相手の左右SHも前に出てきてくれたため、中盤が空いてアンカーから縦に送ることが出来ました。
しかし、秋田は簡単には前へ出てこなかった。
低い位置でコンパクトに守ってスペースを消す戦い方をしていただけに、ジェフDFが引き付けて中盤で前を向くという形をなかなか作れなかったですね。
そうなると、今度はジェフの2インサイドが秋田のダブルボランチにガッツリ掴まれてしまい、アンカーから前へパスを出せなくなってしまう。
例えば、秋田戦の28分のシーン。
右サイドで松田、小林などがパスを繋いで、アンカーの田口へ。
田口は前を覗くも黒いエリアで示した通り、ジェフの2インサイドには相手ボランチがついていて、2トップもDFに吸収されていた。
仕方なく逆サイドの鈴木、日高と繋いでいきますが、日高がボールを持った時には相手がスライドしていて、追い込まれた状況で仕掛ける形となってしまいました。
このあたりに、1アンカー+2インサイドによる難しさを感じる部分があります。
アンカーまではボールを入れられても、そこから前へパスを出すことが出来ない。
J2はダブルボランチで守るチームが多いので、そのまま2インサイドにマークを付けられると縦へのコースがなくなってしまうし、その先の2トップへも楔が入れにくくなる。
海外のチームなどでも5レーンの意識を持って、インサイドがSB-SH-DF-CBの間を狙うポジショニングをすることがあると思います。
しかし、ジェフの場合インサイドが間で受ける意識をそこまで感じないし、3バックなので相手の左右SHが中央に絞って対応しやすい。
しかも、相手SHはジェフがサイドに逃げればSBのフォローにも行きやすいということで、ジェフは相手を左右に広げられず、間を取りにくい状況になっている印象があります。
2インサイドにすることで、むしろバイタル付近のスペースがなくなってしまい、プレーエリアを食い合ってしまう恐れもある。
実際、昨年J2上位にいた新潟や山形は4‐2‐3‐1でトップ下が自由に動き回ったり他選手が入っていったりすることで、流動的なパスワークを構築していたイメージです。
特に日本人選手の場合は流動的に動いてボールを受けて捌ける選手が多いですし、ダブルボランチにすればパスの出し手が増えるメリットもあるのでしょう。
また、現状だとジェフはサイドチェンジが多いですが、中央からの展開が多いので揺さぶり切れていないところも課題だと思います。
オシム監督や鈴木監督は左サイドでパスを繋いで、右の水野や米倉へ大きく展開という形を狙っていましたが、中央からだと展開の距離も短い。
それでも中央で上下に揺さぶって食い付かせられればいいのかもしれませんが、それも上記のように難しい印象があります。
さらに、サイド攻撃も単独での仕掛けが多くなっている。
あえてサイドへフォローにいかないという発想もあるとは思いますが、攻撃がそれだけだと単発になってしまう。
サイドチェンジをして一対一の局面を作る狙いなのか、サポートにいって崩しにいくのかといった交通整備も、まだ綺麗には出来ていないように思います。
まだ新チームの立ち上げ時期でもあるし、まずはプレスと速攻の構築を優先した可能性もあるでしょう。
ただ、チーム初動時が一番監督のやりたいことが出る印象もあるし、今がベースになるのではないかとも思います。
小林監督の発言からもあまりインサイドなどを使って、パスワークで崩すようなイメージは強くない印象も受けます。
現在の3‐1‐4‐2も前に人数を割くので、切り替え直後のボール奪取などに多いてはメリットが大きい。
そのシステムを採用していることからも基本はプレスと速攻メインのチームとして捉えるべきではないかとは思うのですが、それだけでは昇格までいくのは難しいかもしれません。
あえて小柄な選手を多く選んだのでしょうし、それを活かしたパスワークをもっと見せていってほしいところではないかと思います。