ここまでなかなか遅攻からゴールが生まれなかったジェフですが、岡山戦でようやくゴールが生まれました。
岡山戦でのジェフは、何度もGKも含めた後方でのビルドアップを展開し、相手を後方へ引き付けて、縦にパスを送る展開を狙っていました。
これは群馬戦など、他の試合でも見られた光景でした。
群馬戦では3‐1‐4‐2のシステムで現在の4バックとは異なりますが、システムが変わってもビルドアップの狙いは変わらなかったのでしょう。
後方でパスを繋げばリスクは高まりますが、今のところ決定的なパスミスはさほど多くはない。
新井章太などが追い詰められてタッチラインに逃げてしまうこともありますが、プレスからのハーフカウンターも武器となっているので、危険ではないボールロストはさほど大きな問題ではないように思えます。
無理に繋いで下手な取られ方をしてしまう方が危険ですね。
後方で引き付ける展開から、ゴールが生まれたのが54分。
ジェフは右サイドで見木や松田、田中などが絡んでパスを繋いでいきますが、前を防がれた松田が新井一耀にバックパス。
このパスによって、相手は中盤や前線などが前へ出て、中盤にスペースが生まれます。
それを見た新井一耀が、中盤へと鋭い縦パス。
そこから田口は見木へとワンタッチで繋いで、見木は田口に落とします。
この一連の展開によって、今度は岡山DFが前へと釣られます。
特にバイスが前へ引き出せたことが大きく、前方には大きなスペースが。
これを見逃さなかった田口が裏へとスルーパスを送ると、小森がスピードを見せて抜け出します。
そのままゴールを決めて、先制と展開でした。
見事なゴールシーンで、狙い通りの展開だったと言えるでしょう。
ジェフは前半から右の田中、左の日高で攻め込んでおり、左右から攻撃を仕掛けていたことで、中央が空いた部分もあったのかもしれません。
さらにビルドアップで後方に引き付けてから縦へと仕掛けたことによって、左右だけでなく、前後にも相手を揺さぶってゴールを決めたことになります。
これがうまくいった背景には、岡山の守備もあったと思います。
試合後にも「岡山が中途半端に前に出てきてくれた」と話しました。
岡山はジェフDFにはあまりプレスにはいかず、ある程度持たせていたように思います。
その分、ジェフボランチへの守備を重視したようにも思うのですが、ゴールシーンの新井一耀のようにCBからジェフはしっかりとパスを送れていた。
それによって中盤の守備も少しずつ遅れて、ジェフが先手先手を取れる試合となりました。
さらにDFラインも比較的高い位置を取っていた岡山ですが、岡山のバイスや柳はスピードには課題があって、小森を止めきれなかった。
そこも含めて、中途半端な守備になっていたと思います。
失点後、木山監督が5バックに変更したのも、そういった課題が修正できなかったため、諦めて後方を埋める方向にシフトせざるを得なかったのでしょう。
ジェフとしては見事な形でゴールを決められたわけですが、一方でこれも岡山が前に出てきてくれたからとも言えるでしょう。
実際、プレスに出て来てくれた群馬戦などは戦いやすかったですが、後方を固めた秋田戦や先制を許した大分戦では苦戦してしまった。
前に出てきてくれないと前後に揺さぶるビルドアップは出来ないし、前線のスピードも活かせず逆に高さやパワー不足などが目立ってしまいます。
とはいえ、少なくとも岡山戦ではうまくいったのは事実ですし、今はこの形を信じて戦っていきたいところではないかと思います。
もっとこういった遅攻からの攻撃回数を増やしたいところですし、引いた相手を崩す形も見せて欲しいところではありますが、遅攻が課題の1つだと思っていただけに、まずは結果に繋がって良かったと思います。
狙った通りの形からゴールが奪えるようになれば、安定した攻撃が期待できるようになるはずですし、狙った形からのゴールというものは非常に価値のあるものだと思います。