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熊本の3-3-3-1に対して押し込まれたジェフの守備

 熊本戦の監督や選手のコメントを読むと、チームとしては思ったより悪くない印象だったのでしょうか。
 個人的には攻撃的なスタイルを捨ててまで結果にこだわったにも関わらず、2‐0から追いつかれた試合だったわけですから、かなりモヤモヤする内容だったように思います。
 あれでOKとなると、徳島戦、藤枝戦までの前へのこだわりは何だったのでしょう。


 熊本戦でのジェフは、前半から押し込まれる展開が続きました。
 ざっくりと図にすると、以下のような守備隊形を取っていたことになります。

 3‐3‐3‐1の熊本に対して、ジェフは4‐4‐1‐1で対応。
 トップ下の見木がアンカーの上村を見て、ブワニカが中央CBを中心に3バックへ守備にいく。
 前からのプレスがはまりそうなら、左右SHも相手CBへチェイスに行く形でした。

 しかし、ブワニカは1人で前へプレスにいかなければいけない状況でしたし、見木が追い越してCBへチェイスに行くようなこともなかったですから、前からのプレスがはまることはほとんどなかった。
 そのため、後方からSHが前に出てプレスにいくようなこともあまり見られず、熊本の左右CBは自由にボールを持てる展開に。
 そこから押し込まれる展開が増えた試合で、東京V戦以上に割り切った試合となりました。


 さらに、後半に移って80分からの展開では。

 ブワニカに代えて呉屋、椿に代えて矢口、西久保に代えて松田を投入し、5‐3‐1‐1のシステムになりました。
 今季序盤も相手が5トップ気味に攻めてくる場合には、5バックで対応することがありましたし、今回も後方で相手の枚数に合わせたシステム変化となりました。

 しかし、これによって、相手CBはより高い位置まで持ち込んで、攻撃をスタートすることが出来るようになってしまいました。
 しかも、試合後に話した通り、熊本は65分にあえて左CBを変更していた。

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 代わりに投入された大西は本来MFの選手で、ロングフィードも織り交ぜてビルドアップの起点になっていきました。
 ちなみに、2020年に法政大からJ3岐阜に加入した大西は年々出場機会を減らして昨年は8試合しか出場していなかったそうですが、大木監督は2019年まで岐阜で指揮を執っていたので、当時から目を付けていた選手なのでしょうか。
 よくそういった選手を補強し、ものにするなぁと感心してしまいます。


 一方、ジェフは大西のところから攻撃を作られていた印象もあったので、80分の交代でむしろ前へプレスをかけていくのかと思っていました。
 もともとはプレスから主導権を握る守備がベースのチームだったはずですし、あまりにも攻め込まれすぎていた印象もあった。
 しかし、逆に受けて立つ形をとった結果、攻撃される回数が増えてやられてしまったように思います。

 個人的には今季序盤に4バックと5バックを使い分けていたことに疑問があったのですが、それも5バックだとプレスにいけなくなるからという点がありました。
 というのも、今年のジェフはマンマーク気味の守備ですが、DFラインに関してはかなり後方に固まる傾向にある。
 5バックでもWBが前に出ていく形ならいいと思うのですが、熊本戦終盤のように5枚全員で後方を埋める守備をする傾向があるだけに、どうしても中盤のプレスは弱まり押し込まれるところがあります。


 藤枝戦で敗れた後に、いっそより厳格なマンマークにした方がいいのではと話したのもそのあたりが理由の1つです。
 古いジェフサポからすると、マンマークといえばオシム監督時代を思い出します。
 相手に合わせたシステムを採用し、後方は必ず1枚余るので、その分CF巻などは2人を追わなければいけませんでしたが、それ以外はマンマークでぴったりとつく。

 そのため、相手が4‐4‐2だったらジェフは3‐4‐3になり、相手が3‐5‐2だったらジェフも3‐5‐2で戦う。
 ただ、オシム監督のジェフ最終年となった2006年頃から、Jリーグでは1トップが増えていた。
 それに対してオシム監督は2バックで戦っていたわけですが、その左右を取られて苦労する傾向もありました。


 そこで2007年6月の甲府戦で、アマル監督は3トップだった甲府に対して3バックで戦いました。
 当時の甲府は前線が3人ともポストプレーの動きをすることが話題となっていましたが、その分動きは少ないと見て3バックで封じて2列目以降のケアを重視したのかもしれません。
 これが見事にはまって3‐2で勝利しており、ベースは維持しながらも臨機応変に戦えた試合だったと思います。

 奇しくも、この時の甲府を指揮していたのが現熊本の大木監督で、この時PKを外したものの2ゴールを上げていたのが熊本戦で解説だった巻でした。
 ちなみに、当時のジェフはちばきんカップからブーイングの飛び交う大荒れの状況で、甲府戦直前にストヤノフがアマル監督を批判するという大事件が起こっています。
 巻のPKのこぼれを決めた羽生はゴール後に監督の元に走り寄るという姿勢も見せたのですが、その後もサポの雰囲気は変わらずアマル監督解任から選手が大量流出し、その後チームは低迷し現在に至るという流れになっています。


 無駄に歴史の話となってしまいましたが、大木監督の奇抜なスタイルは当時から変わらず。
 特に現在の3‐3‐3‐1だと中盤中央が縦関係なので、ジェフのボランチの片方が前にいくと、徳島戦のようにその裏を突かれかねない。
 また、熊本は3バックなので、SHと前3枚にしてプレスにいくと、藤枝戦のように外を取られかねない。

 対応の難しい相手だったとは思うのですが、受けに回り過ぎて相手の思う壺となっていた部分もあったように思えます。
 改めて自分たちは、どんなサッカーを目指すのか。
 それをベースとした上で臨機応変に戦うべきだと思うのですが、そのベースをどのように考えていくのかがまずは重要ですね。