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いわき戦前半に目立った田中和樹のスピードと田口泰士のサポート

 いわき戦前半のジェフは、久しぶりにジェフが勢いを持って戦えた試合展開だったと思います。
 守備ではプレスとセカンドボールの争いで優勢に立ち、ボールを回収していきました。
 そして、攻撃ではサイドからの仕掛けで、相手を攻め込むことが出来ていたと思います。

 特に有効だったのが右サイドからの攻撃で、サイド裏を田中が走ってチャンスを作っていきました。
 ここ最近のジェフはサイド裏を突くことが出来ず、田中も目立たない試合が多かったと思います。
 久々にいきいきとプレーする田中を、見ることが出来ましたね。


 7分にはセットプレーの流れから、ジェフが拾い直して田中が右サイドで仕掛けてクロスを上げ、ファーのメンデスが頭で狙いますが、サイドネットの外。
 13分にはメンデスのロングキックがミスとなりますが、相手が処理しきれずこぼれたところを田中が拾い、カットインしていってスイッチした横山がミドルシュートを放ちますがポスト直撃。
 54分には田口とのワンツーから田中が右サイドを走り、グラウンダーのクロスを上げると、横山がミドルで狙いますが、GK立川のファイセーブで終わっています。

 これら以外のシーンでもスピードを見せて裏を取るシーンが多く、攻撃を牽引していきました。
 完全に相手を抜き去る展開ではなくても、少し前に立ってクロスを上げきるプレーができていたのは、かなり効いていたと思います。
 動きにキレがあって、コンディションも良さそうな印象を受けました。


 その田中を活かしたのが、田口だったのではないかなと思います。
 長らく左インサイドやアンカーでプレーしていた田口ですが、この試合では右インサイドでプレー。
 前節岡山戦で後半途中からジェフが3バックに変更した経緯もあって、田口はアンカーから右インサイドに移ったのですが、これが意外と良かったこともあり、いわき戦では右インサイドに田口、左インサイドに横山という並びになったのかもしれません。

 今年のジェフは中盤でパスを繋げない傾向にありますが、田口が1人で中盤を作ってしまう試合もあった。
 うまく動いてボールを引き出し、素早く正確なパスを供給する。
 いわき戦序盤では右インサイドの位置で田口がポイントになりつつ、早いタイミングで田中を走らせるパスを出し、攻撃を作っていきました。


 もともと田中のスピードはジェフの武器の1つだし、田口の中盤での構成力も間違いないストロングポイントの1つ。
 その2人を近い距離で起用することによって、そこで優位性を作っていったとも言えるでしょう。
 それが意図的なものなのか、結果的にそうなったのかはわかりませんが、2人の関係性で攻め込めていたところがあったと思います。

 しかし、田口が中盤の右サイドで田中を走らせる役割を果たしたことによって、田口がゴール前に侵入するようなプレーはほぼなかった。
 それがアタッキングサードまでは攻め込めたとしても、厚みのある攻撃には繋がらず、ゴールが生まれなかった原因の1つにもなったのかもしれません。
 実際、右サイドから仕掛けても、ゴール前は林と横山だけといった場面もあったと思います。


 田中は「あれだけチャンスを作ってゼロ得点」と反省し、小林監督も「得点すべきところでできなくて簡単に失点してしまった」と話しています。

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 しかし、本当の決定機がどれだけあったかというと疑問は残ります。


 7分のメンデスのシュートも角度のないところからで前には相手選手もいたし、13分の横山のポスト直撃のシュートもPA外からのミドルで簡単なものではないかった。
 8分の椿のクロスが相手に当たってポストに直撃したシーンや、35分に横山が持ち上がって椿がハーフスペースからミドルシュートを放ったシーンも、相手はしっかりとカバーが入っていてコースも限定されていた。
 一番のチャンスは54分の横山のシュートだったかなとは思うのですが、それ以外は後もう一歩踏み込めていない印象も受けます。

 その点、いわきの先制ゴールは、谷村がメンデスをかわしたところから生まれたものではありますが、まさに一歩踏み込んでゴール目の前から放たれたシュート。
 人数も3人、4人とかけられていましたし、ゴールが生まれても当然という形を作ったことになります。
 ジェフも攻め込む回数は多かったですが、そこまで奥に侵入できていたのかという点で、足りない部分があったと思います。


 そもそも、今季のチームは左右SHをワイドに開かせることが多く、その分2インサイドを固定化したのではないかと思っていました。
 2インサイドがゴール前に侵入したり、バイタルエリア中央の高い位置で起点になることによってCFを活かす、より確実な攻撃を狙っていたのではないかと。
 しかし、いわき戦では田口が右サイドのサポートに専念した結果、ゴール前までは行けず中央はほぼ2トップような状況になっていた。

 2トップでも戦えるケースもあるでしょうが、林や横山、小森といった選手たちは大柄なタイプでもなければ、フィジカルが強い選手でもない。
 彼らを活かすためにはより緻密な攻撃が必要なのではないかと思うのですが、そこが出来ていないといったところが大きな悩みとなっているように思います。