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後半から見せたいわきの4-2-4でのプレスとジェフの対応能力

 先日のジェフ戦でのいわきは、前回の対戦時同様、3-4-1-2での守備をスタート。
 ジェフの2CB+アンカーによるビルドアップを、2トップ+トップ下で追う形でプレスにきていました。
 ジェフの左右SBには、対面のWBが対応。
 
 これは前節対戦した岡山と同様の守り方でしたが、WBがより積極的に前に出ていく形だったと思います。
 キックオフ直後はこの守備がうまくいっていった印象もありましたし、逆にジェフは勝ち星から遠ざかっていたこともあって、動きが重い試合の入りだったようにも感じました。
 しかし、ジェフが7分にセットプレーから1つシュートシーンを作ってからは、ホームの追い風もあって優勢に進め、WB裏を素早くつく攻撃で仕掛けていきます。


 そこでいわきは、23分の給水タイムから4バックに変更。
 左CB石田を右SBに、右CB堂鼻を左SBに、左WB五十嵐が左SBに、左FW谷村が左SHに回る、4-4-2にシフトしました。
 早いタイミングでサイドをつくジェフの狙いに対して、素早くSBが守備に戻ることによってサイドのスペースを消す対応をしていったことが、大きな変化だったと思います。


 3バックのままでもサイドの対応は出来たかもしれませんが、いわきの田村監督曰く3バックの守備が「意図した形にならなかった」とのこと。
 あのままだと5バックになって後ろが重くなってしまうことを考え、4バックに変更したということのようです。
 もともといわきは左右CBに機動力のある選手を置くことも多く、石田もSB経験が長いですから、システムチェンジに不安はなかったのでしょう。

 これによって、ジェフは簡単にはサイドをつけなくなってしまい、徐々にチャンスの回数が減っていってしまいました。
 一方で前半途中から前半終了時までのいわきはプレスを諦め、2トップがジェフのボランチをケアする時間も長い守り方に。
 ともかく、まずは耐えようという守備だったのではないかと思います。


 しかし、後半からいわきは4-4-2のまま、プレスを一気に強めていきました。
 もともとはトップ下で、4バックになってからは前線に回っていた西川を加藤に変更。
 西川はテクニカルな選手ですが、加藤は高さもあってフィジカルも強い選手ですから、攻守においてより前へのプレッシャーを高めていった印象でした。

 そして、ジェフのアンカー小林に対しては、ボランチの山下が長い距離を走ってチェックに来ていました。
 そうなると、いわきは1ボランチになってしまうわけですが、田口にはもう1人のボランチ山口がマークに行って、横山には右CB生駒が前に出て潰しにいく、非常にアグレッシブなプレスをかけていきました。
 ジェフが高い位置まで前進した時にはFWが縦関係になって、1人がアンカーを見るシンプルな形にシフトしていましたが、ジェフはこのプレスに苦しんで押し込まれる時間が長くなっていってしまいました。

 

 図で示した通りかなり積極的なプレスで、ジェフがビルドアップでGK藤田まで逃げると、いわきのFWは追い越してGKまでチェイスにいくことも厭わない守備を見せてきました。

 特に注目なのは田口にほぼマンマーク気味にきていた山口で、この守備で田口を消されてしまったことが、ジェフにとっては大きなブレーキになってしまった印象があります。
 昨日も話した通り、田口から田中へのラインで攻撃を作っていっただけに、そこを対応されてしまったことが大きかった。
 この守備で田口がサイドの狭いエリアに、押し込まれる状況が増えていってしまったように思います。 


 田村監督は後半のプレスを、4-2-4にしたと話しています。
www.jleague.jp

田村雄三監督
「[4-2-4]にして前に4枚並べて制限をかけて、後ろはちょっとリスキーでしたが、ミラーゲームみたいにしました。
(中略)
目の前の選手に圧を掛ければいいと伝えました。そのほうが選手のパワーが出ると思いました」

 田村監督は「戦術よりメンタリティーを改善したかった」と話していますが、戦術的にもはまった変更だったのではないかと思います。


 というのも、現在のジェフというのは流動的な動きが少ない。
 SHはワイドに張るのが基本だし、SBも引いた位置でのパス出しが基本で、インサイドもある程度動きが固定化されている。
 いわきがあれだけ極端なマンマーク気味のアグレッシブなプレスを仕掛けてきているのだから、動き回れば相手を混乱させることも出来るのではないかと思ったのですが、そういった工夫は少なく動きがあっても上下動くらいなものだったと思います。

 海外サッカーでも左右SHがワイドに張るアイソレーションは流行っていて、結果的にそこからポジションも固定化されやすいと思うのですが、守備ではマンマーク守備が復権しているという理由もそのあたりにあるのかもしれませんね。
 それでも欧州の選手たちはパワーやロングキックなどではマンマークを跳ね返せるかもしれませんが、日本人選手の特徴はそこではないわけで、もっと良さを活かすような工夫も必要なのではないかと思ってしまいます。
 サイド攻撃ばかりで徐々に対応されていってしまった試合とも言えなくもないですし、そのあたりも含めてチームとしての柔軟性だとか工夫の部分がジェフに足りていないところなのかもしれません。