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椿直起「左サイドに人が少なくて全体的に右サイドに偏っていた」

 昨日行われた、天皇杯札幌戦は1-0で、品田の直接FKでのゴールを守り切ったジェフが勝利を飾りました。
 お互いにメンバーを大きく入れ替えた試合だった上に、相手はJ1最下位に苦しむ札幌でしたからどう評価するかは難しいところもありますが、勝ち星から遠ざかっていたジェフとしては良い薬になるかもしれません。
 私は試合の方を見れていないのでなんともいえませんが、これでベスト8まで勝ち進み次はズッ友京都と対戦できることになりました。

 さて、いわき戦に話を戻すと、椿が久しぶりのスタメン出場を果たしました。
 椿のスタメンは5月3日のいわき戦以来ということで、実に3か月ぶりのスタメンということに。
 その間も2試合の途中出場を果たしていますが、DAZN中継の情報によると怪我などもあった模様です。


 いわき戦での椿は特に試合序盤、左サイドの位置から鋭い仕掛けを見せていました。
 8分にはポケット付近から鋭いクロスを送ると、相手DFに当たってポスト直撃。
 35分にも左サイドに開いた横山からのパスを受けて、ハーフスペースからミドルシュートを放ちますが、枠の外に終わっています。

 惜しい仕掛けもありましたが、クロスのシーンでもいわきの守備はしっかりとしており、椿のマーカーだけでなく背後にカバーの選手がついていました。
 さらにミドルシュート時も相手は十分にコースを消しており、ペナルティエリアの外から放ったものでした。
 決定機に絡めたとまでは言い難いようにも思います。


 何度かポケットに侵入したことになる椿ですが、決してフリーな状況でポケットを攻略できたわけではない。
 以前、Youtubeでパリオリンピック日本代表の戦い方を取り上げた際にも話しましたが、あのチームは中盤のサイドでSB、IH、SHがトライアングルを作り、そこでパスワークを構築することが出来ていた。
 それによって相手のDFラインなどを前方外寄りに引き出すことが出来たため、相手ポケットが空いてそこをフリーで突くことが出来ていたと思います。

www.youtube.com

 しかし、椿は単独でのドリブルも多かったし、そこからポケットに侵入していくケースも多かったため、結果的にポケットに入れても良い状況でボールを持てた回数はあまり多くなかったと思います。
 さらに、ポケット狙いが有効なのは4バック相手で、3バックだと相手の左右CBがポケットに立つことも多いので、理想通りにはいかなかったという面もあるのかもしれません。


 そのあたりが、以下の感想に繋がっているのかなとも。

www.jleague.jp

椿直起
「良くも悪くも左サイドに人が少なくて、全体的に右サイドに偏っていた。右サイドの攻撃が機能していたからだと思う」

 基本的にはアイソレーションがチームとしての狙いなので、サイド人数が少ないのも仕方がないところもあるのかもしれません。
 ただ、いくらアイソレーションと言っても、素早くそこへ展開できなければこちらが数的不利になってしまう。

 特に相手の守備が硬く、戻りも早いとなれば、単なる孤立状態になってしまいます。
 しかも、椿の場合は田中などに比べると、スピードとロングスプリントで勝負というよりも、本来はキレのあるドリブルで仕掛けたいタイプ。
 そうなってくると、意外とアイソレーションは向いていないのかもしれません。


 それだけにカウンター時などはともかくとして、それ以外の場面ではもっとサポートに来てほしかったのかもしれない。
 しかし、この日は田口が右インサイドでプレーしてしまった結果、より椿は孤立無援を感じてしまったということではないでしょうか。
 日高がいないことも影響しているとは思いますが、それだけではなかったと思います。


 また、以下のような話も

「ビルドアップが不十分で、ロングボール一辺倒になってきた。前までならインサイドハーフの選手もついてきて可能性のあるロングボールだった。いまは放り込んで終わっている感じがする」

 まとめると、左右だけではなく、前後に関しても、バランスが悪い状況を感じているのかもしれませんね。


 実際、何度かお話しはしましたが、横山はあまり中盤での構成に関われておらず、前線のような動きを果たしている。
 左右がアイソレーションを狙っていて、インサイドの1人が前線の働きをしているとなると、中盤は2枚しかいない。
 しかも、インサイドの1枚は左右に寄ることも多い上、アンカーは後方で構ている状況ですから、バランスが悪くなっているのも当然なのかもしれません。

 もちろん、横山が悪いというわけではなくタイプの問題で、横山はゲームを作る選手というより、最後の仕掛けやラストパスの仕事が向いている選手でしょう。
 中盤でも要所要所では良い展開などを見せられる選手ですが、継続してパスワークを構築できるタイプではないのだろうと思います。
 それが結果的に中盤の薄さを生んでしまうのかなとも。


 とはいえ、インサイドだけの問題ではなく、SBがもっと中盤の構成に加わってもいいでしょうし、SHの一角にパスを繋げる選手を置いてもいい。
 あるいは、前線にポストプレーヤーを置けば、結果的に中盤を助けられたかもしれない。
 そのあたりは、全体のバランスというものが大きいでしょうし、今はそのバランスが非常に悪い状況になっているのかなとも思います。

 その根本はやはりチームとして中盤でのパスワークやビルドアップを、蔑ろにした部分が大きく響いているのではないでしょうか。
 確かに今はフィジカル全盛で球際や仕掛けの部分を重視するスタイルがトレンドになっているとはいえ、昨年後半のジェフは左インサイドに見木、右インサイドに風間が入っていたことで、中盤をうまく構成してバランスよく戦えていた。
 見木は後方に下がってビルドアップに加勢していたし、風間は高い位置でスルーパスも狙っていたということで、左右だけでなく前後のバランスもうまくいっていたと思います。

 その見木が移籍した影響も大きいかもしれませんが、それ以上にそれらの動きを重要視せずインサイドが下がる動きなども失われて、ともかく前への仕掛けばかりが優先された結果が今のチームなのかなといった印象です。
 椿が「ダブルボランチで動かしても良かったかもしれない」と話しているのも、そういった要因があるのかもしれません。
 もはや今から細かな動きを変えてもどうしようもないのかもしれませんが、椿がここまで課題を話した状況から考えても、チーム内部でも「まずい」と思う雰囲気が生まれてしまっているのでしょう。
 それを跳ね返すことが出来るのかといった、今季後半戦という状況になってしまいました。