仙台相手にジェフは4-2と、逆転勝利を上げました。
リーグ戦では6月30日の鹿児島戦以来の勝ち星ということで、約2ヵ月ぶりの勝利ということになります。
中断期間もあったとはいえ、非常に長かったですね。
試合前にも話しましたが、やはりジェフは仙台ようにコンパクトなチームとは相性が良いように思います。
4-4-2で固まって守ろうという相手に対して、ジェフは左右SHがワイドに開くだけでなく、CBも低めの位置からビルドアップを開始して、前線も裏を取る意識が強い。
前後左右に奥行と幅を取ろうというスタイルですから、非常に戦いやすい相手になるのだと思います。
ただ、それだけではなくジェフはコンディションも上がってきて、選手たちが動けるようになってきた印象もありますね。
夏の暑さもピークが過ぎたためか、攻守に運動量も増して、球際でも強く行けるようになってきた。
天皇杯も挟んで多くの選手を入れ替えたという面もあるかもしれませんが、いわき戦から動きは良くなりつつありましたし、全体的に状態は上がりがちだったのかもしれません。
その2つの効果もあって、久々にイケイケの展開が作れた試合でした。
しかし、そこには1-2でジェフがビハインドとなった時間帯に、仙台が前に出てきてくれた影響もあったのではないかなと思います。
仙台も殴り合いの展開を受けて立ってくれた結果、逆転劇が生まれた部分もあったのではないでしょうか。
正直、このイケイケの展開を作れなければ勝てないチームというのは、チームとしての完成度だとか安定感においては不安も大きいと思います。
特に今季上位チームはのらりくらりと相手の勢いをかわせる、大人なサッカーが出来るチームが多いですし、それもあってジェフのような勢い選考のチームは苦戦しているのかなとも思わなくもありません。
フルシーズンを通してというだけではなく、より長い目で見ても、むしろ改善しなければいけないところがあるのではないでしょうか。
ただ、今季もプレーオフに向けて苦しい状況であることを考えれば、今はこの波に乗るしかないのだろうなとも思います。
大事なのは、これを次以降も続けられるかどうかということになりますね。
■先制点を許すもCKから同点ゴールをあげて折り返し
ジェフは天皇杯札幌戦で先発した小森、風間、エドゥアルド、品田、松田、佐々木、鈴木に加え、日高もスタメン復帰。高橋、椿、田中以外は入れ替わったことに。
サブも岡庭、ドゥドゥは残りましたが、藤田、山越、田口、横山、呉屋が入り、大きく変わりました。
好調仙台は出場停止明けの松井に加え、中島、林がスタメン復帰し、相良、松下、松澤が控えに。
町田から加入したばかりの奥山も、左SBでスタメン。
控えからは梅木、名願などが外れて、真瀬などが入っています。
9分、仙台の高田が着地時に負傷し、真瀬が投入されます。
12分には仙台の攻撃。
中盤左で得たFKを長澤が蹴ると、中島がバックヘッド気味に狙いますが、バーの上。
仙台はあまり無理をせず、ジェフにボールを持たせるような守備でスタート。
ジェフはボールを持つ時間が長くなり、攻め込む時間が無くなります。
長いボールを有効に使って攻めていきます。
15分にはジェフのチャンス。
左サイド椿がカットインから、品田とのワンツーで受け直してミドルシュート。
しかし、GK林の正面。
その直後にもジェフの攻撃。
右サイドから中央へのパスワークで、風間のパスを受けた品田が小森に縦パス。
品田が受け直してミドルで狙いますが、バーの上。
24分には仙台の攻撃。
プレスで中盤でボールを奪ったところから、有田がロングシュート。
しかし、GK鈴木がセーブ。
その直後、ジェフは負傷した椿に代えて岡庭を投入し、左に田中、右に岡庭に。
徐々に仙台も、前からのプレスを強めていきました。
ジェフの大きな展開にも、徐々に慣れていった印象です。
すると、28分、仙台が先制。
少し下がった位置から長澤らしい伸びのあるロングキックで左サイドへ展開すると、奥山が受けて中の中島へ。
中島がうまく縦へ繋ぐと郷家がラストパスを送って、エロンが合わせてゴール。
そこからは、仙台が攻め込む展開も増えていきます。
しかし、40分にはジェフの攻撃。
風間のキープからエドゥアルドに繋ぐと、小森が距離のあるシュートを放ちますが、GK林の正面。
このままHTかと思われた51分、ジェフが同点ゴール。
左サイドからのCKを品田が蹴ると、ファーの岡庭が折り返し。
エドゥアルドがバーを叩くゴールを決めて、1-1で前半を終えます。
■一時はリードを許すも逆転で久々の勝利
HTで仙台は有田に代えて相良を投入し、右SHに中島が回って、左SHに相良が入りました。52分、仙台のチャンス。
中盤右からのFK、長澤が蹴って實藤がファーで合わせますが、GK鈴木がセーブ。
このプレーで得た左サイドからのCK。
長澤が蹴ると、ファーで菅田が合わせるもGK鈴木がはじき出します。
これを中島が合わせて1-2に。
その直後、仙台は頭を痛めた奥山を下げて、工藤が入りそのまま左SBに。
ジェフもエドゥアルド、風間を下げて、田口、横山を投入。
その後は、お互い前への激しい展開を見せる一進一退の展開に。
すると、64分にジェフが同点ゴール。
スローインの流れから、右サイドの岡庭が左足でクロス。
ニアの佐々木がヘディングで合わせてゴール。
75分には、ジェフが勝ち越し点。
右サイドの岡庭からのクロスは合いませんでしたが、田口が触って繋いで日高がクロス。
小森が飛び出して、ヘディングで合わせて3-2に。
79分、仙台は中島、長澤を下げて、菅原、松下を投入し、3バックに変更。
81分には、日高が左サイドの奥で2人をかわしてシュート。
しかし、ポスト直撃に終わります。
84分にもジェフが追加点。
左サイドのCKのこぼれから、逆サイドで岡庭が1人かわしてラストパス。
佐々木が繫ぎ小森が合わせて4-2。
90分には仙台の決定機。
右サイドから中央へパスを繋いでいき、松井が縦パス。
菅原が反転してシュートに行きますが、ポスト直撃。
92分、ジェフは小森、田中を下げて、呉屋とドゥドゥを投入。
試合終盤も打ち合いのような展開になりましたが、そのまま4-2でジェフの逆転勝利となりました。
■ピッチを広く使った攻撃と中盤のミスマッチをうまく活かしたジェフ
冒頭でも話したように、4-4-2でコンパクトに守る仙台に対して、ジェフはピッチを広く使った攻撃で相手を揺さぶっていきました。そこからジェフが先手を取っていき、最後はイケイケの展開を見せて大勝を遂げた試合だったと思います。
仙台は3ラインの4レーンで守るのに対して、ジェフは4-1-2-3で左右SHがワイドに開いて、5レーンで戦うことになる。
そのためジェフがサイドを攻め込むと、仙台は全体がスライドして対応するわけですが、その分逆サイドがぽっかりと空くことに。
そこをジェフが有効について、攻め込むことが出来ていました。
さらにジェフはCBが後方に引いて、ビルドアップをスタート。
それに対して、仙台の守備は初めから迷いも感じるところがあって、立ち上がりは無理をせずFWがプレスにいかずに様子を伺っていました。
しかし、それによってそこからジェフが展開し、主にサイドを突かれて仙台が劣勢に立たされます。
すると、序盤以降は仙台の2トップが2CBへプレスに行き、仙台の左右SHが絞って中盤へのコースを消しながら、ジェフの左右SBへ出ていく守備を展開。
そこから中盤にパスを出されると、仙台のボランチが前に出て対応していきましたが、これもFWのプレスが少し遅れて後手に回っていた印象です。
すると、前半途中からはFWの一角がプレスにいって、もう一角がアンカーを見る守備に変更。
さらに、後半からは仙台のボランチの一角がアンカーを見て、もう一角のボランチが同サイドのインサイドについていき、逆サイドのSHが絞て、もう一方のインサイドをケアする形に変えていった印象です。
しかし、どの守備もはまり切らず、最後は3バックのような状態になりますが、逆に3バックの外をジェフのSHが取って攻撃を加速していきました。
これもあって、逆転が生まれたといっても過言ではないのかもしれません。
より単純に言えば、ジェフの中盤は3枚で、仙台の中盤は2枚。
そのミスマッチによって、特にエドゥアルドと品田がフリーになることが多く、そこからどんどんと攻撃を仕掛けられた試合だったと思います。
仙台は基本陣形の4-4-2を大きく変えたくはないという発想なのではないかと思いますが、いずれにせよシステムのミスマッチに対してうまく対応しきれなかった印象があります。
ジェフとしては今回のようなイケイケの状態を作るためにも、いかに前へのベクトルを作り出し、いかに仕掛けられるかが重要なのでしょう。
それに対して、仙台は守備に深みを作ってどっしりと構えて相手の勢いを削ぐというよりは、本来は前からプレスにいって圧力勝負を仕掛けるところがある。
その圧力をジェフはワイドな展開などを交えてかわしていったことで、良い試合が出来た試合だったと思います。
このイケイケの状態を、他の相手にも見せられるかが大事ですね。
この日はホームフクアリの後押しというものも大きかったと思いますが、何がキッカケで変わるかはわからない。
今季は大勝した後も勢いが続かなかったことが多いですし、次以降が大事だと思います。