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2019シーズンを振り返る アラン&佐藤寿人編

 2019シーズン振り返りのラストは、アランと寿人。
 どちらも、期待された活躍が出来なかった二人ということになるでしょうか。

 ただ、私は加入時にも話していたように、2人がエスナイデル監督のサッカーにフィットするようには思えなかった。
 昨日も話したように、クレーベもハイプレスと相性が良いようには思えなかったし、フロントが具体的にどのようなプランを描いていたのか疑問が残ります。
 あえて戦力の幅を広げるためにという見方も出来なくはないでしょうが、外国人選手は主軸になってほしいはずだし、寿人に至ってはエスナイデル監督のままでは出番すらなかったかもしれません。

 こういった補強の疑問も含めて、本当に大丈夫なのかな…と思いながら始まった2019年。
 その不安が的中してしまったことになると思います。
 それだけに、2020年も監督以外ほとんど変わっていないけど大丈夫なの?という不安が、また的中してしまわないか心配ですね。


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 東京Vを退団後、ジェフに加入したアランは、FWとして開幕スタメンを果たし第2節新潟戦でも左SHでプレー。
 しかし、第3節山口戦もスタメン出場しますが、堀米の退場もあって前半で交代すると、第4節水戸戦では出場なしで終わります。
 チーム全体の問題もありますが、序盤は活躍できずに終わった印象でした。

 江尻監督に交代して、第6節福岡戦では1トップでスタメンフル出場を果たしました。
 ゴールこそなかったものの、守備やポストプレーで活躍し1-0での勝利に貢献します。
 守備重視で江尻監督が戦っていくのであればクレーベには不安が残るし、アランでよいのではないかと思っていました。


 しかし、続く琉球戦で寿人を起用。
 ブログでも江尻監督が欲を出したのではないかと話しましたが、その試合では1-0で勝利したものの、その後チームは迷走していった印象でした。
 江尻監督は就任直後まず守備の整備を進めていき、それが結果的にチームの方向性を明確にしていたものの、そこから離れたことによって迷子になっていったように思います。

 その後のアランは、途中出場がメインになっていきます。
 しかし、第35節山形戦で突如右SHとしてスタメンを果たすと、負傷した第40節東京V戦までコンスタントに出場していきました。
 山形戦は10月6日の開催で、その前のスタメンは4月28日の大宮戦でしたから、約半年ぶりのスタメンだったことになります。


 江尻監督は最終節後に「僕の選んだ選手、システムは攻守のバランスが崩れていたかもしれない」と話していますし、攻撃的な選手を起用し過ぎていたという分析だったのかもしれません。
 それに気づいて、シーズン終盤に突然アランや鳥海、工藤などを起用したのかなとも思います。
 そうなってしまった要因には、当然チーム全体の選手構成の問題もあるのでしょう。

 右SHで起用されたアランは、ポストプレーや守備で貢献し、ゴール前への飛び出しでも可能性を見せていました。
 第38節山口戦、第39節金沢戦では、1ゴールずつ得点も決めています。
 米倉が抜かれた後にアランがカバーするシーンも見られるなど、真面目なプレーが目立っていましたし、周りをサポートできる数少ない選手でもあったと思います。


 足元の技術もあって、高さやスピードもあり、献身的なプレーもできる。
 ただ、決して器用な選手ではないため自由を与えるのではなく、タスクを限定してあげる必要があるのではないかと思います。
 2017年に東京Vで17ゴールを上げたシーズンも、左SHで守備をしつつサイドから飛び込む役割を与えられ、活躍していた印象でした。

 しかし、エスナイデル監督は、SHに個人技で縦に突破できる選手を置くのが基本。
 江尻監督も攻撃が作れないこともあって、個人能力での打開や得点力を重視していたのではないでしょうか。
 結果的にアランの出番は伸びませんでしたが、最後に守備力を評価されてチャンスをモノにしたシーズンだったように思います。


 2020年も監督が代わるので選考基準が変わるとはいえ、前年のアランは大きく活躍できたわけではないだけに退団かと思っていました。
 というのも、右SBの2番手が濃厚なゲリアも早々に残留が決まってしまったし、他の日本人選手も動きが少ない状況。
 せめて残りの外国人選手を入れ替えることによって、大きな変化を期待したいところではないかと思ったのですが…。

 アランも残留が発表になったのが1月ですし、移籍先を探していた可能性もあるのかなと思います。
 しかし、良い移籍先が決まらず、契約も残ってたので残留となったのでしょうか。
 そう考えると、また無謀に複数年契約を結んでいたことになります。


 ただ、ジェフは守備的な選手が少ないですし、尹監督は守備重視な印象ですので、意外と重要な選手になる可能性もあるのではないでしょうか。
 しかし、川又獲得時にも話しましたが、尹監督は鳥栖C大阪では器用なタイプのSHを使っていただけに、SHだとどうなのかなという印象もあります。
 FWでもタスクを限定すれば活躍できるのではないかとは思うのですが、FWはライバルが多いだけにどれだけやれるのか。

 昨年足りていなかったのは、球際で戦える選手、頑張って走れる選手ではないかと思いますし、そこから選手の入れ替えも少ない状況ですから、今年もアランが必要になってくるかもしれません。
 不器用だけど頑張れる選手というのは古きジェフを思い出すところもありますので、個人的には頑張ってほしい選手の1人です。
 そういった選手が、他の選手にも火をつけてくれるといいですね。


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 アランも活躍できたとは言い難い年でしたが、同時期に加入した寿人はアラン以上に結果を残せなかったことになります。
 得点数は同じ2ゴールですが、アランが26試合に出場しスタメンは10試合なのに対し、寿人は21試合出場でスタメンは4試合のみ。
 途中出場が多いため、出場時間でもアランが1168分なのに対し、寿人は598分とほぼ半数に終わっています。

 2019年の寿人はエスナイデル監督の下ではベンチ入りすらできなかったものの、上記した第7節琉球戦でスタメン出場を果たすとその試合でゴール。
 しかし、第9節岡山戦、第20節横浜FC戦でもスタメンに選ばれたものの、目立った活躍は出来ず。
 チームの成績も伸び悩んで寿人の出番も遠のいていき、結局最後のスタメンは6月29日の第20節町田戦で終わっています。


 何度か話しているように、小柄なゴールゲッターは起用方法が難しいところがあると思います。
 一時の広島や名古屋のようにパスワークを追求するチームなら居場所もあるでしょうが、どのチームにもそういったパスワークを求めるのは無理がある。
 だから、「寿人を使いこなせていない」という批判も目にしましたが、プレーに幅のない寿人にも問題はあるでしょう。

 そのため、オシム監督は日本代表で寿人をSHとして起用していましたし、ミラー監督も新居をサイド起用していた。
 2人とも得点の嗅覚が高いタイプではありますが、そこは求めずに他の仕事を要求したのでしょう。
 それは選手を使いこなせていないとも言えるのでしょうが、中央には高さや強さを求めるのであれば、チームとしては問題のない選択だったといえるはずです。


 エスナイデル監督も細かなパスワークではなく、個人技でのサイド攻撃から中央の高さを狙うサッカーをしてきたわけですから、寿人の補強には懐疑的でした。
 実際、序盤はベンチ入りすらしていなかったわけですし、フロントと監督の意思疎通がうまくいっていたのか疑問も残ります。
 あるいはエスナイデル監督に見切りをつけていたのであれば、2018年末に監督を交代してほしかったと思うのですが。

 大きな活躍は出来なかった寿人ですが、それでもベテランで真面目な選手ということもあって、途中投入から守備面で頑張っていたと思います。
 ただ、2019年は負け越したシーズンですから、ビハインドでの投入も多かった。
 その状況で寿人を投入しても放り込みもできず、もどかしい展開になる試合も目立ちましたね。


 寿人の成績を考えれば退団の可能性もあったと思いますが、早期に勇人が「来年は寿人に託す」とコメントしたことで、残留濃厚となっていました。
 勇人が抜けた分、リーダーシップを寿人に期待することになるのでしょうか。
 もともとは寿人の方がキャプテンタイプではあるのでしょう。

 ただ、高橋GMが「新井章太が持っている人間性、メンタリティが足りない部分だった」と説明していた時にも疑問を感じたのですが、これだけベテランが多い中でまだメンタル的に足りない部分があるということなのか。
 例えばリーダーシップでいえば増嶋や優也などもいるでしょうし、ムードメーカーなら安田などもいたはずです。
 あるいは万が一足りなかったとしても、足りなければ他から補強すればいいという発想が甘えを生んでいるのではないか。


 チームに甘えが生じれば、当然メンタル的にも問題が出てくる可能性があると思います。
 J2降格以降のジェフはベテランの補強が増えていますが、その度に似たような説明を聞いている印象もあります。
 しかし、それによって何かが改善したようには見えないし、メンタル面や雰囲気などが大事だというのあれば、何よりも良いチーム・強いチームを作ることを重視した方が良いのではないかと思わなくもありません。

 昨年、勇人も引退しましたし、寿人も今年が大事な年となるのではないでしょうか。
 寿人や周囲としては監督が代わればまだ戦力として活躍できるという思いもあるのかもしれませんが、昨年ジェフは2人の監督が指揮を執っているし前年も名古屋で9試合しか出場できていません。
 もちろん寿人の場合、試合に出れなくても貢献できる部分はあるのかもしれませんが、その状態を長く続けるわけにはいかないでしょうし、その後を決める1年となるのかもしれませんね。