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第24節 ジェフ 0-2 熊本 前への勢いも出せず選手にも迷いを感じて深刻な状況で中断へ

 中断前最後の試合、ジェフの完敗となってしまいました。
 ジェフは攻守にいいところなく、敗れてしまった印象です。
 連戦の影響もあったとは思いますが、ジェフのホームで相手は遠方アウェイだったことを考えれば、残念な試合だったと思います。

 天皇杯ではFC東京に勝り、内容も悪くなかったようなのですが、そこはFC東京が油断していたのか。
 あるいは、ジェフがJ1相手ということもあって、いつも以上に気合が入って勝てたのか。
 しかし、そういったパターンこそ、怖いことがあると思います。


 特定の試合や時期だけ気持ちが入って戦えてしまうと、逆にそれ以外の試合で動きが落ちてしまい、その時にどう戦っていいのかわからなくなってしまう場合がある。
 ジェフはシーズン終盤に帳尻合わせの如く成績を伸ばしてPOに進出したシーズンが何度かありましたが、その翌年には成績も勢いも落としてしまうことが多い。
 これはジェフだけでなく、J2に昇格したばかりのクラブが序盤だけは好調で、後半に入って息切れをしてガタっと成績を落としてしまうケースも少なくない状況です。

 小林監督は今年の新体制発表会で、「100%出せた時に優勝という目標を掲げてもいい」という話をしていました。
 これはサポーターも含めてという話だったので、サポを煽った意味合いもあったのかもしれませんが、実際のチームも細かなビルドアップよりも球際優先のスタイルをより強めていった印象があります。
 しかし、それによって現在のように前への勢いも出せない状況になると、球際がベースとなっているチームなだけに、どう戦っていいのかわからなくなってしまう。


 だからこそ、前への勢いをベースに戦えているうちに、賢く戦える術を身に付けるべきだった。
 オシム監督も当初は「走れ、走れ」と言っていましたが、2年目あたりから「考えて走れ」ということを強く言い始めていた記憶があります。
 しかし、小林監督は逆の方向に進みつつある印象です。

 流れとしては、やはり6月がポイントだったのではないかなと思います。
 確かに3連勝もあげたし、4勝1敗と好成績で終わりはしましたが、内容には乏しく僅差の試合が多かった。
 それを踏まえてどう戦うのかといった状況だったと思うのですが、流れは変わらないまま7月に入り、結果的に2連敗で中断へという状況になってしまいました。

■前半中頃からは完全に熊本ペースに

 ジェフは高橋が出場停止、矢口、メンデスがメンバー外で、横山、岡庭、小林が控えに。
 新加入の小川、松田、林、高木、日高がスタメンに。
 控えにも新加入の山越や呉屋が入り、岩井、風間が外れました。

 熊本もG大阪からレンタルで加入した唐山がスタメン。
 石川が前線、トップ下に伊東、右ウイングに唐山、左ウイングに小長谷の3-1-3-3。
 控えには元ジェフ佐藤優也が入っています。


 7分、ジェフのチャンス。
 右サイドのスローインから、品田のパスを田中が受けてクロス。
 ニアで林が頭で狙いますが、枠の外。

 9分には、熊本のチャンス。
 大西の縦パスから、唐山が間で受けて伊東とワンツー。
 唐山がミドルシュートで狙いますが、ポストの右を逸れます。


 立ち上がりから、熊本が積極的に前に出ていく展開。
 前から積極的にプレスに行き、パスワークで前へ仕掛けていく。
 ジェフはカウンターで、チャンスを狙っていく形に。

 15分、ジェフの攻撃。
 中盤高い位置でボールを奪ったところから、品田が縦パス。
 林が狙いますが、相手DFがブロック。


 27分、熊本の攻撃。
 古長谷が小川をかわして中央へ。
 東山がワンタッチで落として、石川が狙いますが枠の外。

 31分にも熊本の攻撃。
 右サイドを伊東が、完全に抜け出してニアにパス。
 唐山が落として大本が狙いますが、品田がブロックしてポストの上。

 前半途中までは一進一退でしたが、中頃からは完全に熊本ペース。
 ジェフは熊本のパスワークと前への勢いを止められず。
 しかし、スコアは動かず、0-0で折り返します。

■2点を奪われボールを持つもチャンスも作れずに完敗

 後半に入って若干熊本の運動量が落ちた印象もありましたが、55分に熊本が先制。
 左サイドの古長谷からのクロス。
 GK藤田も触り切れず、うまくCBの裏を取った石川が頭で合わせてゴール。

 1点を失ったジェフは高木、品田、田中を下げて横山、ドゥドゥ、岡庭を投入。
 60分にも熊本の攻撃。
 上村が田口からボールを奪い返してそのまま持ち上がって、ミドルシュートを放ちますが、ゴールの左。


 69分、熊本は古長谷、伊東を下げて、神代、松岡を投入。
 その後も熊本ペースが続き、73分に熊本が追加点。
 中盤左で得たFKを上村が蹴ると、神代が頭で合わせてゴール。

 その直後、ジェフは林を下げて呉屋を投入。
 77分、熊本は石川、大本を下げて東山、黒木を投入。
 黒木が右ウイングで、唐山が前線へ。


 81分、ジェフの攻撃。
 小森の浮き球のパスは相手にクリアされますが、横山が拾ってミドルシュート。
 しかし、枠の外。

 83分、熊本は唐山を下げて、大崎を投入。
 88分には熊本の攻撃。
 左サイドでのジェフのパスミスから、黒木が持ち上がってニアにラストパスを送りますが、中央であわず。

 試合終盤は熊本も守備で待ち構える状況になって、ジェフがボールを持つ時間が増えていきます。
 しかし、シュートにすら持ち込めない厳しい展開が続き、0-2で完敗となってしまいました。

■前回対戦時よりも差を感じ選手にも迷いが?

 前半からジェフは、熊本のパスワークを止めきれずに苦戦していった印象でした。
 前回対戦時も密集してパスを繋ぐ熊本と人に食い付いてプレスにいくジェフとの戦いで、そこに勝ったのが熊本だったというお話をしました。

yukkuriikou.hatenablog.com

 今回もそれに近しい展開ではあったと思うのですが、今回のジェフはあの時以上にプレスにいけていないし、プレスにいけない状況での守備も甘い。
 特に先日も話した通り、ボランチ付近のスペース管理が甘く、熊本に何度も中央から前線までパスを展開されてしまいました。


 熊本のパスワークは非常に流動的で、ウイングが中盤でプレーしたり、逆にウイングが外に出てSBが中に入ってきたり、前線が中盤のようにプレーしたり、トップ下が前線でプレーしたりと各選手が縦横無尽に動き回ります。
 それに対してジェフはマンマークなので、人についていっていいのか、我慢すべきなのか、終始悩みながら守備をしていた印象です。
 基本的にはついていくことになるわけですが、人についていくとポジションバランスが崩れ、そこをカバーするために他の人が動かざるを得なくなって、さらに別のスペースが出来てしまうということも。

 熊本の流動的な攻撃を可能にしているのも、1人1人の技術が高いのはもちろんですが、ポリバレントな仕事が出来る選手を集めているからでしょう。
 サイドやCBにもパスを出せる選手を起用したり、ウイングやトップ下にもFWのタスクもこなせる選手を配置している。
 全員が一芸に秀でているというよりも、何でもこなせるタイプが多い印象です。


 これはジェフとは逆で、ジェフはサイドならサイド、中盤なら中盤と仕事を分担しているイメージが強い。
 ジェフの方が欧州のトレンドらしくはあるのでしょうが、日本人のスタイルに適しているのはどちらなのか。
 そこは好みの問題もあるでしょうし話が大きくなってしまいますが、理念はかなり異なる2チームと言えるのかもしれません。

 しかも、この日のジェフは小森と林をスタメン起用して、2トップに近いシステムで戦っていきました。
 しかし、これによって、むしろ前線の2人が相手3バックに吸収されてしまった印象があった。
 それによって、田口はアンカーの上村が見ればいい状態となって、2インサイドの優位性は失われてしまったように思います。


 これが2トップが不発と感じた要因。
 これまでは相手がジェフの2CB+アンカーを前から追うと、ダブルボランチの一角が前に出なければいけないことも多く、ジェフの2インサイドが有的優位にたてたこともあった。
 しかし、この日のジェフは変則的な4-1-3-2にも近いシステムだったため、唯一のインサイドとなった田口は上村がそのまま見れば対処可能な状況だったと思います。

 ジェフは中盤の繫ぎなんていいからカウンター重視で2トップへ、という今季感じるパスワーク切り捨て方針をより強めた戦い方だったのかもしれません。
 これはFC東京戦でハーフカウンターから2点を奪って、逆転勝利を上げられたことも大きかったのかもしれない。
 ただ、それあくまでも格上のFC東京だから通用した戦い方であって、J2を勝ち進むにはカウンターだけでは厳しいのではないかなと思います。


 残念なのは、この小森と林の2トップ、清水戦終盤にも試してうまくいかなかったにもかかわらず、同じような展開になってしまったこと。
 あの時も品田と田口のダブルボランチで、今回は田口が左インサイドに上がってはいましたが、似たような組み合わせになっていました。
 これもFC東京戦で結果を残したからということではあるのでしょう。

 ただ、個人的には中盤を省略するような展開は、今季の大きな問題点の1つではないかと思います。
 カウンターだけで勝てるような試合ならばいいのでしょうが、熊本も攻撃から守備への切り替えをより速くして、ジェフのハーフカウンター対策を講じてきた。
 そこで封じられるとなれば、ハーフカウンタ―だけでなくビルドアップで崩すか、堅守からのロングカウンターかというもう一手がやはり欲しいところではないかと思うのですが、今年のジェフはむしろハーフカウンタースタイルに固執して、チームとしての幅は狭くなってしまったようにも思います。


 相性などもあったのかもしれませんが、4月に対戦した時以上に熊本との差は広がっているように見えたのが非常に残念です。
 プレスもはまらなければ、引いて守る守備も出来ていないし、攻撃もうまくいかなかった。
 サイド攻撃もハーフカウンターも警戒されてうまくいっていないわけですし、選手たちにも攻守に迷いを感じ始めていますし、割と深刻な状況ではないかと思います。

 ここで中断期間に入るのが、不幸中の幸いではないかなと思います。
 コンディションが上がれば、プレスにはいけるようになるかもしれません。
 ただ、プレスである程度勝点を稼いだとしても、それだけではまた同じ展開になりかねないわけで、チームとしてその先があるかどうかが、ジェフの将来において大きな分かれ道になるのではないでしょうか。