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鈴木健仁GMインタビュー「主体的に」「攻撃的に」

 カタールW杯の行方も気になりますが、Jリーグストーブリーグも徐々に進んでおり、ジェフも動きを見せています。
 昨日には鈴木健仁GMのインタビューも、ジェフの公式サイトにアップされました。
 ここ数年のジェフは、年末年始にGMのインタビューを掲載することが多いので今年も期待していたのですが、オフが長いためか思ったより早いタイミングでした。

 サポーターの気持ちをスッキリさせるためにも、良かったのではないでしょうか。
 総じて、はぐらかさず丁寧に自分の意見を語っている印象で、尹監督に関してもリスペクトを持って話しており、他者に責任を押し付けていないことも好印象だったと思います。

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 内容を見ていくと、まずジェフのスタイルが不明瞭であるという話題で、一部サポーターから質問状も出ていたようですが、個人的には現段階で質問するようなことはあまりないと思っています。
 今季最終節で佐藤勇人CUOがクラブの方向性について投げかけた時にも話しましたが、尹監督が率いる以上は堅守速攻スタイルになることはわかっていたことでしょう。

 確かに「ジェフのサッカーが"見えなかった"」、ようするに、目標とするサッカーをピッチ上で表現できなかったことは事実。
 特に今回のインタビューでも触れている通り、速攻を作れなかったことで実現できなかったわけですが、そこはさすがにフロントではなく現場レベルの問題でしょう。
 責任を有耶無耶にするのは個人を助けることにはなるかもしれませんが、組織を助けることにはなりません。


 一方でアカデミーはパスサッカーであるにも関わらず、トップは堅守速攻を目指すという齟齬はありました。
 ただ、そこに関しては、本来2020年から尹監督を招聘した高橋前GMに聞くべきことだと思います。
 2021年にGMに昇格した鈴木GMも2020年からTDとして関わっていますが、さすがに監督任命の権限があたったとは思えません。

 その鈴木GMは尹監督体制で攻撃面に課題があることを理解した上で、戦い方を「アレンジ」することも踏まえて意見交換をしてきたとのこと。
 これに関しても何度かブログで取り上げていますが、昨年末の鈴木GMのインタビューで、「2021年序盤に結果が出ない中、尹監督と感情的になったり、ぶつかったりしながら何度も話した」という話が出ています。

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 このことから昨年後半にハイプレスへシフトしたのも、鈴木GMなどのアドバイスが大きかったのかなと予想していました。
 今回のインタビューでは3バックへの変更が鈴木GMの意向だったことが明らかになりましたが、それだけだったのか、それに加えてハイプレスへのシフトもあったのかまではわかりません。
 どちらにせよ効果的な変化ではありましたし、福岡時代は井原監督のサポートといった印象も強かった鈴木GMですが、意外と具体的に動くタイプのGMでもあるのかもしれません。


 一方で補強に関しては、当然GMの仕事ということになります。
 私も昨オフの段階で、オフの動きが少ないことや、CBやWBが物足りないのではないかという話をしましたが、実際にそこが弱点となったのではないかと思います。
 ただ、その後CBに関しては田邉を補強していますし、WBの層が薄かったからこそ西久保がチャンスをもえらえたという見方もできるのかもしれません。

 外国籍選手に関しては、ブラジル人3選手の退団が発表になっており、今年はチャンを除いて活躍しきれなかったことになります。
 特にレオンソに関しては失敗だったようにも思いますが、リカルド・ロペスに関しては以前にも書いた通り、やはりお試し期間だったということなのでしょう。
 インタビュー内では「賭け」というニュアンスですが、怪我明けでどこまで動けるのかはわからない状況にあったということだと思います。


 それでも「賭け」に出なければいけなかったのは、予算も大きく関わっているのではないでしょうか。
 経営情報でも取り上げた通り、ジェフは昨年から強化費が約4億円も減少している。
 だからこそ、サウダーニャやダニエル・アウベスのような若手外国人や、怪我明けのリカルド・ロペスに賭けざるを得なかったのだと思います。

 特に外国籍選手はお金がかかるため、クラブの予算が直結する方向にある。
 J2でもお金のないクラブは若手韓国人選手に頼ったり、外国籍選手なしで戦う傾向がはっきり出ている。
 さらにこのコロナ禍で、外国籍選手の交渉はより難しいところがあると思います。

 実際、今年はJ2全体で見ても日本人選手の活躍が目立っており、昇格した新潟や横浜FCを筆頭に上位クラブでも外国籍選手に頼るチームは少なかった。
 そもそもとして個人能力に頼るサッカーというのがもはや古いようにも思いますし、ジェフも伝統的に外国籍選手がフル稼働することは少ない。
 実際問題として今年のチームに優秀な外国籍選手がいたら飛躍したかというと怪しいところがありますし、それ以前の問題といった印象が強く残ります。


 来季以降のジェフに関しては、鈴木GM曰く「主体的に」「攻撃的に」がテーマということになるのでしょうか。
 鈴木GMは具体的なサッカーに関しても言及しており、高い位置でプレスをかけて最短ルートでゴールを狙い、ポゼッション時はしっかりとボールを動かし相手を崩す。
 この辺りの目指していくスタイルも、小林コーチが昇格した時点である程度予測できたことだと思います。 

 小林監督に関しては新潟時代の鈴木GMとの繋がりが切っ掛けとのことで、コーチとしてジェフで手元に置いて、しっかりと評価した上で監督昇格を決めたというのも大きなポイントではないでしょうか。
 新しいスタイルを築き上げ、リスクを冒すサッカーで楽しんでもらいたいという発想も理解できます。
 ただ、小林監督を「今のジェフに合う監督」として見出した具体的な理由は何だったのか、実績ある指導者は候補に入れなかったのかなど、監督選定に関してもう少し突っ込んで聞きたかったところはありますが、人事も最終的には理論よりも勘が重要であるということなのかもしれません。


 その他、細かな部分では、怪我人が多かった理由を聞けたのも安心しました。
 コロナにかかると、怪我が発生しやすいという可能性も出ているのですね。
 ただ、それだけではないとも思いますし、来季は怪我を含むコンディション調整により力を入れて欲しいところ。

 一方で、尹監督退任の発表が早かったのは、カンフル剤的な狙いが大きかったようです。
 それはうまくいかなかったということで、そこに関しては納得のいかないサポーターも少なからずいるのかもしれません。
 ただ、「現実的にはかなり苦しい状況だった」のは事実で奇跡を期待したのでしょうし、来季以降の伸び代に関しては尹監督では厳しかったというところもあるのかなと思います。


 初めに話した通り現段階で質問しなければいけない要素は多くないと思いますし、GMがあまり表に出過ぎるのも言い訳がましくなるでしょうから、それはそれでどうなのかと私は思います。
 これまでの尹監督体制も来季からの小林監督体制もクラブとしての狙いは明白ですし、明らかに理解が出来ないようなクラブ運営をしているわけではないでしょう。
 その上でただただ力不足だったということで、それこそが大きな問題とも言えるわけですが。

 来季も目指すべき方向性はよりはっきりしたわけですが、だからといって当然うまくいくとも限りません。
 ただ、こうして鈴木GMがインタビューに答えて疑問に答えていくことは、クラブ運営にとっても意義のあることだと思います。
 とはいえ、一番大事なのは何よりもピッチ上で見せることだと思いますし、そこはフロントもコーチ陣も選手も含めて、より一層頑張ってほしいところですね。